英語のリスニング力強化のためにシャドーイングを取り入れてる方も多いのではないでしょうか?
シャドーイングは負荷が高い学習方法のため、最初の方は難しく感じてしまい、正しいステップを踏まないと挫折してしまいがちです。
そこで今回は「シャドーイングができない…」というときにチェックすべき、原因と対策、初心者向けの学習方法を紹介します。
リスニング力を上げたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
シャドーイングとは?
そもそも「シャドーイング」とは、見本となる英語の音声を聞きながら、音声から少し遅れて、聞き取った音をそのまま復唱するトレーニングです。見本の音声を影のように追いかけるため、“シャドーイング”というわけです。
流れてくる音声を正確に聞き取って、正確に発声する必要があるため、シャドーイングは英語学習方法の中でも負荷が高いトレーニングとされています。
研究によって実証されている、シャドーイングの主な効果は以下の3つです。
- リスニング力の強化
- 発音の改善
- リーディング速度の向上
シャドーイングが難しい理由
シャドーイングに取り組む方に認識しておいてほしいことが、そもそもシャドーイングは難しいトレーニング方法であるとうことです。
そのため、最初から完璧にできるはずはありません。最初は、たどたどしくてもよいからとにかく「正しい手順で継続する」ことを目指しましょう。
シャドーイングは複数のことを同時にこなすマルチタスク
シャドーイングは、複数のことを同時に処理しないといけないため、とにかく集中力を要します。
- 英語音声を聞き取る
- 聞き取った音声を短期的に記憶する
- 聞き取った音声を自分の口で復唱する
- 自分の発音が見本の英語音声と合っているかをモニタリングする
- 英語音声の意味を理解する
上記のような複数のことを同時並行で処理していくことになります。
英語のリスニングや発音に慣れていないうちは、特に負荷が高いため、挫折してしまう方が多いのもうなずけますね。
マルチタスクの自動化には慣れが必要
複数のタスクを同時にこなす場合、以下のように何かに集中すると何かがおろそかになるという状態に陥ってしまいがちです。
- 見本の英語音声に集中すると、自分の発音がおろそかになる
- 自分の発音に集中すると、リスニングがおろそかになる
こういったマルチタスクを処理するためには、無意識のレベルで自動的に行えるように体に慣れさせていく必要があります。
例として、自転車の運転を考えてみましょう。自転車を運転する際も以下のようなタスクを同時並行で処理しています。
- バランスを取る
- ペダルを漕ぐ
- 前方・左右に危険がないか確認する
- 状況に応じて加速・減速・停止する
このように、自転車の運転でも複数のタスクを同時に処理しますが、手続き記憶といって「体が覚えている状態」になっているために、特に意識せずとも自動で処理できるようになっています。
シャドーイングも同様に、自動的に処理できるようになるまでに時間がかかるため、慣れるまではかなり難易度が高いわけです。
シャドーイングができない理由4つ
シャドーイングができない理由としては以下の4つが考えられます。
- 未知語が多い
- 単語の正確な発音を把握していない
- 音声変化によって聞き取れない
- 英語の発声に慣れていない
未知語が多い
知らない単語の数が多いと、当然シャドーイングもできません。
最低限の単語の知識は学んでおきましょう。以下のような音声付きの単語帳で基本的な語彙を学んでおくことがおすすめです。
単語の正確な発音を把握していない
単語の意味を知っていても、発音を知らなければ聞き取ることができません。
最近私自身が経験したもので言うと、“Cryptocurrency”が「暗号通貨」ということは知っていましたが、アクセントを知らなくて聞き取れなかったということがありました。
単語を覚えるときは、発音まで正確に覚えるようにしましょう。
▲「Cryptocurrency」の発音を確認してみてください
音声変化によって聞き取れない
英語は文章になると、音がつながったり、欠落したりします。そのため単語ごとの意味と発音がわかっていても、文章になると聞き取れないということが起こります。
英語の音声変化の特徴を知り、英語特有のリズムに慣れるということが不可欠です。
英語特有の音声変化には以下のような種類があります。
音声変化 | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
連結 | 単語の末尾の子音と次の母音がつながる | I have a pen.→アイ・ハヴァ・ペン |
同化 | 次の単語の影響で音が変わる | I need you.→アイ・ニージュー |
ら行化 | tやdが母音に挟まれるとら行のような音になる | But I think…→バライシンク… |
脱落 | 子音が消える | Good night.→グナイ(d,tが消える) |
弱化 | 助動詞、前置詞、be動詞、人称代名詞などは弱く短く発音される | He can help you. |
これらのルールは、丸暗記するのではなく、実際に英語をたくさん聞き取ることによって、体験的に覚えていくのがよいでしょう。
慣れてくると、自然と聞き取ったり、発音したりできるようになります。
英語の発声に慣れていない
シャドーイングは聞き取った音声を正確に復唱することが必要です。しかし、英語には日本語にはない発音が多く存在するため、英語特有の発声に慣れていないと口が回りません。
「単語の発音を把握する」、「リピーティングや音読で、音声変化に慣れる」といった対策が必要です。
こちらも、回数をこなすことが欠かせないので、根気よく反復練習をしていきましょう。
シャドーイングができないときの対処法4つ
シャドーイングができない場合、使用する教材のレベルが合っていない、または、シャドーイングというトレーニング方法を取り入れるべき段階でない可能性が高いです。
まずは、以下の対策をしてみましょう。
- 自分のレベルに合った教材を選ぶ
- 正しい手順でシャドーイングを実施する
- 聞き取れない単語の発音を確認する
- 躓く箇所を繰り返し反復する
自分のレベルに合った教材を選ぶ
シャドーイングで最も重要な要素が「教材選び」です。教材のレベルが自分に合っていないと、思うような効果が出ませんし、挫折する原因にもなります。
最初は、スクリプトを読んだときに、ある程度スラスラ読めるレベルのものからやってみましょう。
以下の記事でレベル別のオススメ教材を紹介していますので参考にしてみてください。
特に英語のリスニングに自信がない方におすすめなのが、美女シャドーイングです。1音1音ゆっくり・はっきり発音してくれているので初心者の方でも無理なく聴き取れるでしょう。
美女シャドーイングはこちら
正しい手順でシャドーイングを実施する
シャドーイングの学習効果を得るためには、正しい手順でシャドーイングをする必要があります。
秋田大学の調査では、コンテンツ内容を先に学習してからシャドーイングを行った場合、リスニング能力の向上に効果が見られなかったという結果が出ています。(参考リンク)
リスニング力の強化を目的としてシャドーイングを取り入れる場合には、最初に英語音声でシャドーイングを実施して、その後にスクリプト内容の学習をするようにしましょう。
- シャドーイング(1回〜3回程度)
- スクリプトを確認する
- 音声に合わせて音読
- シャドーイング(1回〜3回)
効果的なシャドーイングの手順については以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。
聞き取れない単語の発音を確認する
聞き取れない単語があれば、丁寧に発音を確認しましょう。カタカナで把握せず、音声と発音記号をしっかり確認することがポイントです。
1語だけ繰り返し聞きたい場合はGoogle翻訳などを使用しましょう。
躓く箇所を繰り返し反復する
読めば単語の意味や文の意味を理解できるものの聞き取れない場合は、英語の音声変化を理解できていないということになります。
複数回聞いても聞き取れない、または、うまく復唱できない箇所があれば、その部分だけ繰り返し練習しましょう。
繰り返し練習することで、音声変化のルールに慣れてますし、英語の発音・リズムを体で覚えることができます。
それでもシャドーイングができないときは?
上記で紹介した対策を実施してもシャドーイングができない場合は、英語の基礎的な知識が足りていない可能性があります。
シャドーイングは難易度の高い学習方法なので、英語初心者の方は以下のトレーニングから始めるとよいでしょう。
- 基本的な英語知識を学ぶ
- 音読とリスニングに分割する
- オーバーラッピングをやる
基本的な英語知識を学ぶ
教材のレベルを落としてもうまくシャドーイングができない方は、そもそも基本的な英語知識が身に付いているか確認しましょう。
まったくの英語初心者の方は、中学レベルの単語・文法を学び直すところから始めるとよいでしょう。
上記のような書籍を一冊しっかりと読み通せば、ある程度中学英語の学び直しが可能です。
音読とリスニングに分割する
リスニング力強化を目指すなら、リスニング(精聴)と音読を組み合わせても効果が得られます。
シャドーイングはかなり負荷の高い学習方法なので、どうしても難しく感じる方は、こだわる必要はありません。
リスニングと音読を組み合わせて、自分のペースでやってみましょう。
オーバーラッピングをやる
シャドーイングは、スクリプトを見ずに英語音声を聞きながら、流れてくる音声を真似して復唱するトレーニングです。一方、オーバーラッピングは、スクリプトを見ながら、英語音声とほぼ同時に発声する練習方法です。
オーバーラッピングも継続することでリスニング力の強化や発音の改善に役立ちます。
シャドーイングだと難易度が高いと感じる方は、オーバーラッピングを試してみることをオススメします。
シャドーイングができない理由と対処法 まとめ
今回はシャドーイングができない理由と対処法を紹介しました。
シャドーイングは負荷の高いトレーニングなので、いきなり完璧にこなせる必要はありません。最初はうまくできなくても、コツコツと続けることで英語のリスニング力強化や発音の改善に繋がります。
「シャドーイングがうまくできないなぁ…」と感じている方は、ぜひ今回紹介した方法を参考に継続してみてください。